近年よく聞く、「ブラック企業」という言葉。
労働環境が非常に劣悪な、労働者を使い捨てにするような会社のことですね。このような企業で働いていて、もう耐えられないので会社を辞めようとしても、なかなか辞めさせてくれない…、そんな状況が増えているんだそうです。
そんな時に、退職にまつわる法律の知識を基本的なものだけでも知っていれば、ずいぶん違います。会社の都合いいように処理されてしまわないように、いくつか振り返ってみましょう。
退職届はどれくらい前に出さないといけないの?
実は、退職は労働者の権利。労働者が辞めたい、と思ったら自由に退職することができます。会社の承認は必要ないのです。会社を辞めたい、と心が決まっているときに書くのが退職届。退職願ではありませんので、注意しましょう。
退職届を提出してから最低限必要な期間は、2週間。会社はそれ以上拘束してはいけないのです。しかし、就業規則で「退職するときは1ヶ月前までに申し出ること」というような一文がある場合は、これも考慮に入れて、できるだけ早く提出するようにしましょう。
辞めたら損害賠償請求する!と言われてしまった…どうすればいい?
「今辞めたら人手が足りなくなるので、業務が悪化する。その損害賠償請求する!」とか、昔の些細なミスをあげ連ねて「辞めるのならその損害賠償してね」って脅されるようなこともあるようです。こんなこと直接言われたら驚いてしまいますよね。でも、安心してください。これは、損害賠償請求の根拠には全くならないのです。昔の些細なミスについても、よほど重大な過失でない限り、雇用の中に含まれていると考えられます。そんな脅し文句に言いくるめられないように、気を付けましょう。
離職証明書の発行を拒否された…。
退職した後に、雇用保険から失業保険が支給されますよね。これを受け取るには、「離職票」が必要になります。この離職票、勤務していた会社がハローワーク(公共職業安定所)に離職した人についての「資格喪失届」「離職証明書」を提出して、その後離職した人に発行されるものです。勤務した会社が手続きをしてくれないと、失業保険を受け取ることができなくなってしまうのです。それで、この離職証明書の発行拒否をやめる人を引き留めるのに利用したり、退職した人への嫌がらせとして利用する会社があるようです。
もちろんこれは違法な行為です。雇用保険法83条で、違反した場合は6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金と定められています。
どうすればいい!?退職届を出したのに引き止められて辞められない!きっぱりと会社を辞めるために知っておくといいこと!
退職届はできれば2週間前には提出しましょう。会社の就業規則を確認して、退職に関する規定があるかも確認しておきましょう。
脅し文句で「損害賠償する!」と言われても、落ち着いて対応しましょう。退職自体で、損害賠償請求の理由になることはありません。
失業保険を受けるのに必要な離職証明書の発行拒否は、違法な行為です。
他にもいろいろあるのですが、これだけでも覚えておいて、退職届を出したのになかな辞めさせてもらえない、会社に言いくるめられてしまう、といったことを避けることができるようにしましょう。